PSDミュージアム
1972年の創業以来、PSDではソフトウェアとハードウェアの融合をコンセプトに、様々なものを作ってきました。
中には社員さえ知らないものや、現在似たようなものが世間で出回っているものまで!そんなPSDの歴史を覗いてみませんか?
1988年-1989年
当時のパソコンはMS-DOSと言うOSが主流であり、画面も80文字×24行とキャラクタベースのシステムが多かった。
ソフトウェア開発に於いてもプログラムを作るのにキャラクタベースのテキストエディタを使って編集していたが、使い勝手はあまり良くなかった。
そこで、PSDでは当時のUNIXなどに見られたマルチファイル・マルチウィンドを実現したエディタを開発・販売した。開発者は現代表取締役社長。PSD初の製品である。
Zephyr Editorを略してZEDと名付けた本製品は、そよ風のように人にやさしいエディタとして親しまれた。
1991年
県の研究機関では、ブロック塀などの工事支援を目指した油圧で制御されたロボットアーム(全長5、6m)を開発していた。 その制御ソフトの開発を任されたのがPSDだった。それまで同分野に関する経験がなかったPSDでは、ロボット工学から油圧制御まで一から勉強して作り上げた。
動作検証には当時最新?のグラフィック技術を使ったロボットシミュレータを作成。それにより、実際にロボットを動かさずに検証することを可能とした。
1995年
当時の超音波測深機は濁りに弱く海洋工事現場では使えないと言われていた。そんな中、PSDでは独自の制御技術と信号処理技術でこの壁を乗り越える事を目指した。
しかし、当時の開発チームには超音波もハードウェアの技術もなく、途方に暮れる日々が続いた。それでも毎日のように基礎実験を繰り返し、試行錯誤を続け、目覚ましいスピードで様々な知識を習得していった。そしてついに第1号機が完成。開発から5年目のことだった。
1995年-1996年
某有名製薬会社向けに開発した、ドリンク飲料自動検査装置。
製薬会社が製品を出荷する際、毎日数本を人手で抜き取り検査していた作業を自動化する装置。
炭酸濃度、開栓力、内容量など数項目を検査するもので、開発中は天井近くまでドリンク飲料の入った箱が積み上げられていた。
1998年-2001年
「世界に刺身をまともに切れる機械は存在しない」という世間の常識を打破すべく、刺身切り機の開発は始まった。
しかし、現実は、刺身包丁を振り回すアブナイ機械や、切った刺身を散らかす無作法な機械など、開発は悪戦苦闘の日々。
そんな中、「硬い物なら簡単だが、柔らかい物は切れないよ」の一言で技術者魂に火が付いた。
そうして出来たのがレーザースキャナで身の形状を把握して華麗にカットする刺身切り機だった。但しカットできる魚は限定された…。
1998年-2003年
高知工科大学との共同研究で、現在主流のコンピュータCPUとは異なる、DDMPと呼ばれるCPU向けのコンパイラやシミュレータを開発。
現在のCPUはノイマン型と呼ばれ、命令を逐次処理していく方式だが、DDMPはデータ駆動型と呼ばれデータの入力順に処理が進むもの。
一般には画像処理や音声処理などで使われるDSPデジタルシグナルプロセッサの汎用性を高めたものとなる。
1999年
高知県の森林率は84%。県のほとんどが山に囲まれた地形だが、植林したものの、採算が悪く放置された森林も多く存在する。
本ソフトウェアは、立木から森林の価値を算出し、効率の良い伐採方法をシミュレートすることで、 林業の改善を図ることを目的に開発された。
これらの要望は高く、高知県内の森林組合に導入されるとともに、全国からも問合せがあった。
2000年-2001年
SeaVision シリーズ第2弾。
初代SV-500の大幅改良版。コスト、サイズ、重量は1/2、性能は2倍というスペックを実現。海洋土木工事分野の超音波測深装置で全国シェアトップとなる。
ソフトウェアも大幅にアップグレードされ、その後の製品ラインナップの基礎を築いた。
2004年~
「高知と言えばイタドリやろ!」 イタドリを全国に広める為に始まった一大プロジェクト。2004年春、創業者・技術顧問・社長、会社のトップ陣営がひそかに開発を開始した。
1年のうち、開発できるのは4月のみ。10年以上の年月を費やすが、テストしたのは10数回。今では技師長以下多くの精鋭技術者が関わる、春の風物詩となっている。
2007年
高知県は日本一の柚子の産地。柚子を使用した様々な製品が作られているが、柚子の皮には多くの油脂成分が含まれており、通常の搾汁では効率の良い回収ができていなかった。
そこで、高知県では特殊な搾汁機により、高濃度の搾汁が出来る実験装置を開発していた。PSDは実験装置のデータ収集とモニタリングシステムを担当した。
2009年-2010年
乳牛の個体健康管理と計画出産を目指して、国の研究機関、県の研究機関と共に開発をスタート。
凡そ2年で必要なデータが取れる様になり、畜産試験場で評価を繰り返した。しかしながら、その後、開発チームの足並みがそろわず、製品化直前にして中断。無念の結末となった。
2009年-2010年
林業の収益性が課題となっている昨今。改善策の一つとして、森林の伐採現場より直接製材所へ出荷し、中間コストを省くという方法がある。
本システムの開発は、伐採現場で画像処理を使って丸太を採寸し、課題を解決しようとしたテーマだった。
伐採した丸太をトラックに積む際、スーパーのレジの様に丸太を計測器にかざすとピッと鳴って計測するというユニークなもの。
「ピッ」と鳴る音に喜んだのは、最初だけだったかもしれない。
2009年-2012年
海洋土木工事における作業船の施工業務全般(施工箇所への誘導や施工箇所の記録)を、総合的にサポート・管理するシステムを目指し開発をスタート。
特に注力したのは、船内の様々な機器から得られる情報を駆使した浚渫工事の強力なナビゲート力。
これは国土交通省が推し進めている「i-Construction:ICTの全面的な活用(ICT土工)」にもマッチし、PSDが海洋土木業界におけるアドバンテージを確立するきっかけにもなった。
2011年
開発の発端は、毎年高知市で開催されている「ものづくり総合技術展(現:ものメッセKOCHI)」にイタドリ皮剥き機を参考出展していた時のこと。
製紙会社の人より「土佐和紙の原料である楮(こうぞ)」も剥げないものか」と言われて始まったプロジェクト。イタドリよりも簡単そうだと、勢いで開発に入ったが、結局、2、3年かかってしまう。
「ものづくり総合技術展」で実演したら、気持ちよく剥げる様が評判になった。なぜか剥いだ皮では無く、残った木が綺麗で小学生に喜ばれたというエピソードが残っている。※楮(こうぞ)の皮部分が和紙の原料となる。
2013年-2016年
これまでの超音波測深装置とは一線を画す機能を実装。ネットワーク接続が可能となり、SeaVisionシリーズの様々なソフトウェアとの親和性が向上した。
基本性能も大幅にブラシュアップされ、PSD超音波測深機の集大成と言える製品が誕生した。
2014年
四万十市江川崎が日本一の最高気温を記録して話題になった年。四万十市民は、暑くとも「日本一」というフレーズに悪い気はしていなかった。
その後、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市の3箇所で日本一を競うこととなり、それをリアルタイムで見せる装置の開発が始まった。
開発チームのリーダーが雨男だったことは未だ秘密にされている。
2016年-2017年
超音波測深装置を制御し、測定結果をグラフィカルに表示する、Smart Sonar Monitor。
使いやすさ、分かりやすさにこだわり、測りたい箇所はマウスでドラッグ、操作ボタンを発光させるなど、ユーザーの測深操作をサポート。
もちろん平面、断面、3D、数字表示や、測量・計画データ等の重ね合わせ表示にも対応。
単独で使用しても良し、施工管理システムと組み合わせても良し。測深管理には必要不可欠なシステムとして活躍中。
2016年-2017年
仮想的な操船室(バーチャル・ブリッジ)をテーマに開発した、VBM(Virtual Bridge Monitor)。
無線が届く範囲なら、どこでも、どこからでも機器(GNSS:全地球航法衛星システム、潮位計、海中のグラブ状態など)の情報確認が可能なモニターである。
開発当初はデジタル値表現であったが、どうもしっくりこず。よくよく考えてみると、操船室にある計器の多くはアナログ表示。...大幅なデザイン変更に踏み切った。
あと忘れていけないのは、グラブバケットの3次元表示。その仮想空間から、施工中の出来形も確認できるという優れもの。
2017年-2018年
「水産革命」をスローガンに生まれた製品。魚の養殖における最大の課題である「給餌」を大きく改善すると共に、時代の最先端技術IoTやAIを駆使したシステムを構築。
クラウドを使ったデータの分析や、養殖生簀の統合管理など、新しい水産業へとイノベーションしている。
2017年-2021年
PSDの製品には傾斜を検出して制御しているものが多く存在する。しかし従来の傾斜計では振動による誤差が大きく性能劣化の原因となっていた。
そこでPSDは考えた。世の中に良い物が無ければ作ってしまえ!
試行錯誤を重ねること5年。努力が実を結んだ製品が完成した。ただし、完成した傾斜計はあまりの高性能の為、門外不出となっているとか…。
2018年-2019年
林業の課題の一つに事故の防止とその緊急対応がある。山で作業中に事故があった場合、直ちにその場所を周囲の人や事務所に通知する必要がある。
「林業安否確認システム」は、スマートフォンの加速度センサーを利用し、異常を検知すると、ソフトウェアで周囲の人や事務所に通報するシステムとして、高知県内で利用されている。
2019年-2021年
魚の養殖向け自動給餌システム、餌ロボから得られたデータを蓄積して、より高度な養殖に向けて様々なサービスを提供したいという目的で開発がスタート。
餌ロボは10年後には3,000台販売されているはず!という薔薇色の未来を見据えてデータ設計を進めたが、超大量データの扱いに予想以上の大苦戦。また、開発の佳境段階でデザイン見直しという鶴の一声もあり、リリースに黄色信号が灯ることとなった。
その後、開発メンバーが必死に踏ん張った事もあり、なんとかサービス提供が開始された。
2020年-2021年
魚市場の運営は慢性的な人手不足に悩まされ、良質なサービス提供が年々困難になっている。
そこで、手作業が中心だった市場業務をスマート化しようと誕生したのが「魚市場の自動計量システム」である。本システムは漁獲情報の提供や、計量・入札の自動化など、市場業務の大幅な効率化を実現した。現在、高知県内の幾つかの市場で活躍している。
2021年-2022年
VBM(Virtual Bridge Monitor)から継承した3次元表示技術をさらに飛躍させ、生まれたシステム。
船舶、施工状態(海底形状)、周辺地形を3次元で表示しモニタリングする本システムは、Smart Sonar MonitorとSV-Naviが持つ機能の集大成ともいえる。海底形状のリアルタイム表示や離れた位置の施工状態表示など、徹底して情報の「見える化」にこだわり、工事の効率化と無駄を削減する。
見えないものを見るシステムとして、今後の活躍が期待されている。